「うちの猫、あまり水を飲んでいない気がする……」
猫の水分補給が気になって、水飲み場を何度も確認している飼い主さんもいるでしょう。
猫が水をあまり飲んでいるように見えるからといって、飲み水だけで水分摂取量を判断することはできません。
食事に含まれる水分も重要だからです。一方、普段より明らかに水を飲まなくなった、食欲や元気も落ちているなどの変化がある場合は注意が必要です。
猫の水分補給は「水を飲む量」だけでは決まらない
猫が体に取り入れる水分には、水飲み場から直接飲む水だけでなく、食事に含まれる水分もあります。
そのため、水皿から飲んでいる回数だけを見て「水分が足りている」「足りていない」と判断するのは難しいのです。
特にドライフードと水分を多く含むフードでは、食事から摂取できる水分量が大きく異なります。
食事の水分量を増やす方法がある
猫の水分摂取を考えるうえで重要なのが、食事に含まれる水分です。
Buckleyらは健康な成猫を対象に、栄養成分をそろえたうえで食事の水分量を変え、尿への影響を調べています。
この研究では、食事から摂取する水分量を増やすことで、尿量や尿の濃さなどに変化が確認されました。
つまり、猫の水分補給を考えるときには、水皿から飲ませることだけではなく、食事から水分をとる方法も選択肢になります。
ただし、療法食を使用している猫や持病がある猫では、自己判断で食事内容を変更せず獣医師に相談してください。
水飲み場を複数用意する
水分をとりやすい環境をつくる方法の一つが、水を飲める場所を複数用意することです。
AAFPとISFMの猫の飼育環境に関するガイドラインでは、水・食事・トイレ・休む場所などの重要なものを、それぞれ利用しやすい場所に用意し、猫に選択肢を与えることが勧められています。
特に多頭飼いでは、ほかの猫を避けなければ水を飲めない状況にならないよう、離れた場所にも水を用意するとよいでしょう。
ご飯と水は少し離してみる
水皿をフードボウルのすぐ隣に置いている家庭も多いでしょう。
しかし、AAFP/ISFMのガイドラインでは、食事と水を別の場所に配置することが勧められています。
今の場所であまり飲まない場合は、水飲み場を一つだけに固定せず、食事場所から離れた静かな場所にも水を置いて、猫が選べるようにする方法があります。
自動給水器なら必ず飲水量が増える?
「猫は流れる水が好きだから、自動給水器ならたくさん飲む」と聞いたことがあるかもしれません。
しかし、すべての猫に当てはまるとはいえません。
静止した水、循環する水、上から流れ落ちる水を比較した研究では、全体として水の出し方による飲水量の明確な差は確認されませんでした。
一方で、特定の水の出し方を好み、飲水量が増えた猫もいました。
つまり、自動給水器が合う猫もいれば、普通の水皿を好む猫もいるということです。
「流れる水なら必ず飲む」のではなく、その猫が好む方法を探すことが大切です。
猫が水を飲みやすくするために試したいこと
- 水飲み場を複数用意する
- 食事場所とは別の場所にも水を置く
- 多頭飼いでは水飲み場を離して配置する
- いつでも新鮮な水を飲めるようにする
- 複数の水皿や給水方法を試して好みを確認する
- 必要に応じて食事から水分をとる方法を検討する
一つの方法に決めつけず、猫自身が選べる環境をつくるのがポイントです。
普段より急に飲まなくなった場合は注意
もともと水皿から飲む量が少ない猫と、これまで飲んでいた猫が急に飲まなくなった場合では意味が異なります。
特に次のような変化が一緒にみられる場合は、動物病院へ相談してください。
- 普段より明らかに水を飲まなくなった
- 食事もとらなくなった
- 元気がない
- 嘔吐や下痢がある
- 排尿の回数や量に変化がある
- 排尿しようとしているのに尿がほとんど出ない
- 普段と違う行動が続いている
特に何度もトイレに行くのに尿が出ない、またはほとんど出ない場合は、様子を見続けず速やかに動物病院へ相談してください。
まとめ|「飲ませる」より飲みやすい環境をつくろう
- 猫の水分摂取は飲み水だけでなく食事の水分にも左右される
- 水飲み場を複数用意して選択肢を増やす
- 食事と水を離して置く方法もある
- 自動給水器で必ず飲水量が増えるとは限らない
- 水の好みには個体差がある
- 急な変化や体調不良を伴う場合は動物病院へ相談する
「猫だから水を飲まなくても大丈夫」と決めつけるのではなく、普段の飲み方や食事、排尿の様子を知っておくことが大切です。
水皿を増やしたり置き場所を変えたりしながら、その猫が水分をとりやすい環境を探してみましょう。
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